Amazon Kindleで特価販売されていたので「人工知能は人間を超えるか」を読んでみましたが、この本めちゃくちゃ面白い。
知識を伝えるのは難しい
人工知能を実現する為には、人がどういう風にモノを考えるか?なんてことを突き詰めていかないといけないわけで、学者さんたちが人工知能を実現するために行った試行錯誤の過程を見るだけでも、いろんなことを考えさせられました。
本の中に人間の持つ一般常識をコンピューターにすべて入力してしまうという「サイク プロジェクト」というのが出てくるのですが、なんと1984年からひたすらデータ入力しているけど30年経ってもまだ終わってないらしいです。
最近、会社で言われるのが自分の「考え方」をチームのメンバーに伝えろ(そして、メンバーがそれに沿って自発的に動けるようにすべき)ということなんですが、こういう「口伝」みたいなのは効率悪いなぁと思うところもあって、なるべくマニュアル化したり文章に落とそうと思ってたんですが、細かいところまで意図を説明すると追いつかないし、ものすごく時間がかかる。
「サイク プロジェクト」の例を見ると知識を伝えるのは、やっぱ大変だなと思った次第です。
ディープラーニングはなんぞや
言葉だけは聞いていた「ディープラーニング」についても、ちゃんとわかりやすく説明されていました。
なかなか難しい話なので何度か読み直して、なんとなく理解できてきたのですが、今までの機械学習では人が着目すべき特徴を職人芸的に導き出してコンピューターに設定しないといけなかったのが、ディープラーニングでは、特徴を勝手にコンピューターが見つけてくれるというのが画期的だと理解しました。
でも、コンピューターが特徴を元にデータを分類したとしても、それが何かはわかってなくて分類されたモノが「何か」を教えてあげるのは人間なんですね。猫や人間の画像を見せることで特徴からそれらを分類できるようにはなるけど、コンピューターにはそれが猫か人間かは意識していない、と。
Googleフォトに写真をアップロードすると、雪の写真には雪がちらつく効果が施されたり、イルミネーションの写真だとピカピカ輝く効果が付け足されます。
たぶん、ディープラーニングで写真を分類させて、Googleの人がこれは雪の写真だとか意味づけしてあげたのでしょうね。
人工知能が人間を支配する?
話題になっているディープラーニングにしても意味づけするのは人間の仕事。意味はわかってないんですね。人工知能が人間を支配するのはまだ先のようです😀
ただ仕事によってはコンピューターでまかなえてしまうものも出てくるかもしれないそうです。
人がやらなくても良くなる仕事というのは、ITの世界ではAmazonやGoogleがクラウドでいろんなサービスを提供するようになりはじめた時に感じたものと近いなと思った。
Googleはいろんなものを手軽に使える仕組みをどんどん格安で提供していってる。同じようなものを作ろうとしてもとても太刀打ちできないわけです。プログラムの開発自体も海外の安い人材で作ることも多い。しまいにはIT会社に頼まなくてもお客さんが自分でシステムを作れるようなものが出てきたら、どうなってしまうんだろう?
うちのようなシステムを作って納めている会社は仕事がなくなってしまうのではないか。こうなってくると、人手でしかできない仕事にシフトするしかなくなってくる。
お客さんの困っているところを頭使って解決するところに注力して、システムは部品をつなぎ合わせて組み立てるだけ、もしくは組み立て方のアドバイスをするというところを担う、とかですね。
「勘と経験」で行っていた作業もセンサーにより情報を取得しディープラーニングで人も気づかないような特徴を抽出し、勘と経験を盗んでしまえるかもしれません。
「リアル世界は人間様の天下」と思っていたら最近はロボットが進出してきてますからね。今後、機械に仕事を取られないように道を模索しないといけないですね。その頃には私は寿命かもしれませんが😀
人工知能を学ぶことは人を学ぶこと
それはさておき、知能をどのように機械に持たせるかという研究の歴史は、人に知識を伝えなければいけないという立場の人が読んでも面白いと思います。
「人工知能を学ぶことは人を学ぶこと」と、この本を読んで思いました…が、まさに本の帯にそう書いてあったんですね😀
人工知能は最近のトレンドでもありますし、是非読んでみてはいかがでしょうか。