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いったん、自分でできるということを忘れましょ
最近、AIをうまく使うには、「昭和のパソコンわからん上司ムーブ」をかますのが、けっこう大事なんじゃないかと思っています。
自分はIT系の業界でパソコンわからん上司には恵まれなかった(?)のですが、勝手なイメージとしては昔の「パソコンがよくわからない上司」って、部下に何から何まで投げてる感じがあります。
「この資料、いい感じに保管しといて」
「あの件の資料、どこにあったっけ。探しといて」
「前に似たような提案したやつあったよね。あれをベースに今回用の資料作っといて」
こんなやつですね。
今だと、自分でパソコンを触れるし環境が整ってきていることもあって、こういうこと言う上司自体減ってるのではないでしょうか。
しかし、AIがパソコンの中のファイルを操作できるようになってきた現在、検索して、フォルダを開いて、資料を探して、名前を変えて、どこかに保存するみたいなのは、AIでやればいいんじゃないかと思っています。
「保存するだけ」が、実はけっこう疲れる
たとえば、メールやチャットで資料が送られてきたとします。
その資料を保存する。たったそれだけの話ですが、改めて何やってるか思い出して見ると結構手間がかかっています。
この資料はどの案件のものなのか。どのフォルダに置くべきなのか。ファイル名はこのままでいいのか。あとで自分や他の人が探せるのか。既存の分類に入れるのか、新しくフォルダを作るのか。
最初は資料が少ないので、フラットに資料を置いてもなんとかなります。でもだんだん増えてくる。気づいたら「これはどこに置くのが正解なんだろう」と毎回ちょっと迷うようになる。
フォルダ階層で情報管理するのは無理があるので、タグで管理しましょう、みたいな話も昔からありました。ただ、タグ管理は意外と広まらない。
結局、今でもフォルダの階層管理です。
でも、このフォルダ管理はさっきも書いたように地味に難しい。
「どこに置けばあとで探しやすいか」を毎回判断している。大したことない作業に見えるけれど、ちゃんと認知負荷があります。
だから、ここをAIに投げる。
「この資料、内容を見て適切な場所に保存しておいて」
もしくは
「●●案件の議事録フォルダにいれておいて」
ぐらいは言ってもいいかもしれません。
正確なフォルダ名がわからなくてもAIが人間の代わりに探してくれます。
ファイルサーバーやSharePointのフォルダを直接自分で見ないぐらいにすると、だいぶ楽になります。
やってみると人類はこれほどまでにファイル管理で疲弊していたのかと実感すると思いますw
「あの資料どこだっけ」を自分で探さない
保存の次に来るのが、検索です。
「あの資料どこだっけ」
これも、もう自分で探さない方がいいと思っています。
「たしか、前にこういう資料があったと思うんだけど、探してきて」
みたいな感じでAIに頼むのです。
人間がやると、まずそれっぽいフォルダを開きます。なければ別のフォルダを開く。ファイル名で検索する。引っかからない。SharePointの検索に期待する、やっとみつけるみたいなことをやってます。
そこでAIです。
Claude Code/CoworkやCodex、Antigravity、Copilot Coworkみたいなツールは、ファイル名やフォルダ名、または直接AIが読めるファイルであれば全文検索的に動いて必要なファイルをみつけていきます。
わりと人間と同じようなやり方で探してくれるので、人間が探しやすい状態にしておくと、AIも探しやすい感覚ですね(だからこそ最初に書いた整理も合わせて大事になってくるのですが)。
過去資料から「たたき台」を作らせる
資料作成でも同じです。
たとえば、ECサイトと会員向けスマホアプリを連携する案件があるとします。
ECサイト側の業者と、スマホアプリ側の業者が別。そうなると、どこまでをどちらが作るのか、役割分担を決める必要があります。
商品一覧をスマホアプリ側に表示したいという要件がある場合、ECサイト側に商品一覧取得APIを作ってもらって、スマホアプリがそれを叩くのか。それとも、スマホアプリ側ではWebViewで既存のECサイトを表示するだけにするのか、実現方法によって役割分担はかなり変わります。
APIを作るなら、ECサイト側の開発範囲が増える。WebViewなら、スマホアプリ側はほぼ表示するだけで済む。運用や保守の考え方も変わる。
こういう資料を作るとき、何もない状態からAIに「ECサイトとスマホアプリの役割分担考えて」と丸投げしても、まあ今はそれっぽいものは出ます。
でも、それだと自社の文脈に合わない可能性が高い。
たとえば過去の案件では、特別な要件がなければAPIをわざわざ作らず、WebViewで表示するのが定番だったとします。運用もその形で固まっている。今回も大きな理由がなければ、その必勝パターンで行きたい。
その場合は、
「過去にA社向けで、ECサイトをWebView表示にした提案資料があるはず。それを探して、今回の案件向けに役割分担のたたき台を作って」(当然今回の案件の前提の違いを説明する資料も同時に渡す)
とAIに頼む。
そうするとAIはただの一般論を書くのではなく、過去の自社文脈に沿ったいい感じの資料を作ってくれます。
今までなら、自分で「あの資料あったよな」と思い出し、一生懸命探し、今回の条件との差分を考え、資料を直していました。
そこまでをAIにやってもらう。
人間はチェックに専念。今回の案件に合っているか、変な前提が入っていないか、相手に出していい表現かを確認する。
AIの実力は、触っていないとわからない
こういう細かい仕事をAIに頼むメリットは、楽になることだけではないかなと思ってます。
こういう細かい作業をAIに頼むようにすると日常的にAIの仕事っぷりを見ることになります。
AIの進化は速いので、「これはまだAIには無理」と思っていたことが、いつの間にか普通にできるようになっています。
逆に、日常的に使っていないと、自分の中のAI観が古いまま固定されます。
小さい仕事を頼む。結果を見る。「ここまではいけるな」と思う。少し難しい仕事を頼む。失敗したら、まだここは苦手なんだなとわかる。
人に仕事を頼むときと似てないでしょうか。
新しく一緒に働く人には、ちょっとした仕事を頼んで、成果物を見て、この人ならここまでお願いできそうだなと判断する。
AIに仕事を依頼してAIの力量を人間が判断して、ここら辺まではいけそうかな?というのをやっていく感じです。
AIは今の所、仕事をこなしても勝手に成長はしないけど、モデルの性能向上や与えるコンテキストで出来る事が変わっていきます。
AIで成果物作る人はAIの実力を定常的に見極めていく必要があると思います。
資料を保存する。資料を探す。過去資料からたたき台を作る。
こういう作業は、AIの実力を見るためちょうどいいと思うんですよね。
AI時代は、人間側の認知負荷が増える
最近よく言われてる話ですが、AI使うと人間の認知負荷が莫大に増えます。
AIを使うと、アウトプットがすぐ返ってきます。
ただ、そのぶん人間側の「判断する量」が増えます。
すぐ返ってくるから、すぐ見る。すぐ判断する。すぐ次を頼む。また返ってくる。
人間側がずっと判断し続けることになります。
だから、資料を置く、探す、軽くまとめる、たたきを作る、みたいな細かい作業まで自分で抱えていると、かなりしんどい。
実際、個人的にもAIを使いはじめてから、頭がオーバーヒートしたような状態になることが本当に増えました。
ほんと、つかれる。
良いアウトプットを出すには、細かい作業に脳を使い切らない方がよくて、人間は、AIが作ったものをチェックする。方向性を決める。足りないところを足す。最後に責任を持って判断する。
このあたりに力を使うべきと思いました。
昭和の上司ムーブは、AI時代に復権する
そう考えると、「パソコンわからん上司」の動きは、けっこう理にかなっていたのかもしれません。
手を動かす部分を外に出して、自分は考えるところに集中する。時間のかかる作業を任せて、自分は判断する。
そういう役割は、たぶん必要だったんでしょうね。
パソコンが使えるからといって、全部自分でやらない。
検索できるからといって、全部自分で探さない。
資料を作れるからといって、全部自分で書かない。
AIにお願いして返ってきたものを見る。直す。できそうな範囲が見えてきたらもう少し難しいことを頼む。
AI時代に必要なのは、何でも自分で手を動かす優秀な作業者になることではなく、AIに仕事を振って、自分は判断と改善に集中することなのかもしれません。
その意味で、「昭和のパソコンわからん上司ムーブ」は、AI活用のかなり実践的な型なんじゃないかと思います。
そんな感じです!それでは!











