「i1 Display Pro」使ってモニタのキャリブレーションをしたらマルチディスプレイ環境での写真加工が快適になりました。
目次
発端はLightroomのマルチディスプレイ機能
Lightroomはマルチディスプレイ環境で使うとメインのディスプレイに写真の一覧、サブディスプレイに選択した写真の拡大表示(‘ルーペ’と言うみたい)する機能があります。
これがなかなか便利で、今までMacBook Pro with Retina displayのレティナディスプレイの表示が綺麗過ぎるのであまり使っていなかったiiyamaのサブディスプレイ ProLite XU2290HS を使うようになりました。
しかし、使っていておかしな事に気づきました。自動階調補正を実行してもサブディスプレイのルーペ表示が変わらないのです。
よくよく確認してみたところ、サブディスプレイの表示が変わらないのではなくて、二つのディスプレイの表示が違いすぎて、補正前の表示がされていると勘違いしてしまっていただけだったのです。
Retinaとそのほかのモニターでは違うといえども、いくらなんでも表示が違いすぎる、ということで思い出したのが「モニタキャリブレーション」でした。
モニタキャリブレーションとは
モニタの明度、色温度、ガンマ値を調整することのようです。モニタの個体毎の差異を補正して、「世界標準」の色にあわせていくようなことをやるようです。
モニタ毎の差異もありますが、モニタを使い続けていると日数と共に色が変わってきてしまいます。そのため定期的に200時間毎に調整するのが良いそうです。
なぜ必要?モニターのキャリブレーション | EIZO株式会社
そこで、5000K、100cd/m2の元の状態に戻すために定期的なキャリブレーションを行うことが重要になります。200時間に1回程度の頻度でキャリブレーションを行うと、常に安定した色を保つことができます。
色温度は色味みたいな感じですね。ガンマ値というのは赤、緑、赤の出力の癖みたいなものみたい。それぞれ同じパワーで出力してもモニタによっては赤が強めに出たりとかして、そうなるとPCはグレーを画面に表示しているつもりなのに少し赤い色が被ってるとか、滑らかに階調を表現できないとかいうことが起きる。そういうのを補正するのがガンマ補正というらしい。明度は明るさですな。
第7回 “曲線美”が色再現性の決め手になる?――液晶ディスプレイの「ガンマ」を知ろう | EIZO株式会社
手動でやってみたが
Macのディスプレイ設定には「カラー」という項目があって、そこに「補正」というボタンがあります。
言われるとおり画面に出てくるリンゴと背景色が同じになるようにマウスでグリグリ設定を変更するんですが、出来た結果としては二つのディスプレイの色の差異はもっとひどくなったという(笑)
私の目が悪いのかよくわかりませんが(笑)、今まで手動のモニターキャリブレーションでうまくいった試しがありません。
「i1 Display Pro」でモニターキャリブレーション
モニタキャリブレーションには専用の機械があります。調べてみるとプロ用まではいかなくても、割と一般人でも手が届くのが「i1 Display Pro」という製品とのこと。
さっそく取り寄せてみた。
中にはこういう機械がはいってる。これだけ見ても何かわからんだろうな。側面の黒い部分を少し持ち上げるとクルッと回転できるようになっていて、レンズが出てくる。
使うソフトはパッケージのCDに入ってるのはどうせ古いだろうから、メーカーのサイトからダウンロードした。ちゃんとMacのMavericksにも対応してる。
http://www.xrite.com/i1display-pro/support
i1Profiler 1.6.1バージョンをダウンロードした。履歴を見るとこまめにバージョンアップしているようで安心。
「i1Profiler」というアプリがインストールされているので実行。
最初にユーザー登録しないと使えない。画面がわかりづらいけど、矢印の所から登録。
注意点は2つ。最初に製品を選ばずに後で選ぶと入力した情報が空っぽにされて、また入力しないといけなくなる。もう一つはセンサーをMacのUSBポートに接続すること。なんか機械のアクティベーションをするらしい(もしかしたら機器を挿しておかないといけないのは「その他製品」の時だけかも)。
最初の画面に戻るので左上の「ディスクプレイのプロファイル作成」を押す
難しい画面出るけど、左に細かく説明が出るのは嬉しい。けど、難しい。
まずは最初にどのディスプレイを調整するかボタンを押す。うちの場合はディスプレイ二つ繋げているので二つボタンが出てきた。「カラーLCD」となっているのがMacBook Pro with Retina displayの方みたい。
「白色点」の設定。室内の照明によって白色は違って見えたりするので、それを環境に合わせて設定するようです。「測定」を選ぶと難しいことわからなくても、センサーを使って測定できるので楽です。画面の指示通りモニタの横にセンサーを置いておきます。
その下の「輝度」も「白色点測定時の輝度を使用」にチェックすればOK。
次は実際のモニタの測定です。「測定を開始」ボタンを押すと測定開始されます。
画面に説明がまた出てきます。センサーの側面を掴んで少し上に持ち上げると側面部分がクルッと回転してレンズがむき出しにできます。それをモニタの中央にぶら下げて当てる感じです。
ちなみに「おもり」がコードについているのですが、指で押し込んでおもりの位置は調整できます。うまく真ん中にぶら下げられるよう調整します。
ディスプレイの明るさをまず調整。品質インジケータというのがちょうど真ん中に来るようにMacのディスプレイの明るさを調整します。普通にやるとうまく真ん中に来ないのですが、Option + Shift押しながらF1やF2押すと細かく明るさを調整できます。うちの場合Fnも押さないと調整できないキーボード設定にしているので指がつりそうになりましたが(笑)
そもそもMacBook Pro with Retina displayの場合、周りの明るさで自動で明るさが変化してしまうので、厳密にやるなら自動での明るさ調整はオフにするべきでしょうね。私はしてませんが(笑)
[2015-05-27追記]
「測定を開始」のボタンが表示される画面に「ハードウェア設定を表示」という項目があって、その中に「自動ディスプレイコントロール(ADC)」という項目があります。こちらにチェックしておくと、明るさの調整も自動でやってくれるようです。MacBook Pro with Retina displayとiiyamaのどちらも自動でやってくれているようです。
次へを押すと測定開始。
ディスプレイにいろんな色が表示され、センサーがそれを読み取っていきます。ほー。
最後にプロファイルを保存。なにかわかりやすい名前を付けます。保存後にプロファイル適用後とその前を比較表示もできます。最初は結構青色寄りの表示になっていたのね。
同じ要領でサブディスプレイも調整すればOKです。
キャリブレーション前後を比較
さっそく、違和感を感じた画像を並べて表示させて見比べてみました。
キャリブレーション前だと上のサブディスプレイの方が箱の上の朱色が薄く見えます。このせいで、補正されていないように勘違いした。
キャリブレーション後は箱の上の部分の色がほぼ同じに見えます。実物でみると、さすがにモニタが全然違うのでまったく同じとまではいきませんが、かなり近い色に補正されています。
ちなみにOS標準の機能でセンサーを使わずに目視で調整した結果はこれ。このありさまですよ。むしろ最初より悪化してるし。
これはいいですね!
ここまでちゃんと色が合ってくれるとは嬉しいですね。色あわせのためだけに2万後半も払うというのは、ちょっと躊躇しましたが写真やるならば、キャリブレーションツールは持って置いた方がいいですね。これでLightroomでサブディスプレイも活用して効率が上がりそう!
一度調整して終わりというわけではなく、最初の方に書いたように200時間に一回の再測定が推奨のようなので、自分の場合平日1時間、休みに6時間使うと想定して、(1 * 5)+ 6=一週間11時間、つまり18週間=4ヶ月半に一回は調整した方がよさそう。i1Profilerでは定期的に測定の時期のお知らせをしてくれるけど、4週間おきに通知が最長の設定みたい。まぁ、それでやりますか。